2010年10月24日日曜日

「20歳のときに知っておきたかったこと」を32歳で読んで

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表題の通り、僕はもう32歳なので、この本を読んで「ほんとに20歳までに知っておいてよかったよ」という感想は最初から期待していなかった。むしろもう手遅れのはずなので、読み終えたあとどう思うか気になりつつ読んだ。結論としては「32歳でも知っておいてよかった、手遅れじゃない。」だ、たぶん。いや、この本の趣旨からすればそれで間違いない。
本屋で第一章を立ち読みしてすぐに話に引き込まれた。

いま、手元に5ドルあります。二時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?

副題にある通り、スタンフォード大学の集中講義なので、これは実際に学生に出した課題らしい。学生の各チームは5ドルを元手にして平均で4000パーセントまで増やしたというからすごい。実際の例がいくつか書かれているけど、それらは答えを知ってしまえば単純だけども、自分では思いつけるかわからないという種類のものばかりだ。普段は気にもかけていないことを、注意深く観察することで、新たな視点で世界を見ることができるということがとてもよくわかる。

起業を中心に話が展開していくように感じるけれど、起業を志していない僕でも楽しめた。起業のチャンスをつかむように世界を見渡すことは一つの視点に過ぎない。起業での成功はわかりやすい結果だからだろう。起業をしなくても世界をさまざまな見方で眺められたほうが楽しい。今までの価値観で見ていたのでは、何も変わらないから、見方を変えてみようというのが、本書を流れる根幹だろう。自発的に活動して、自分の自立した人生を生きようというポジティブな発想だ。

32歳で読んでみるととても共感できることが多くて面白いんだけど、20歳のときにこの本に出会っていたらどうなんだろうと考えさせられる。「知っておいてよかった」ってなるかわからない。僕が20歳だったときは大学生ではあったけれどちっとも勉強していなかったし、社会との関わりなんてものもまったく考えていなかった。きっと自分に関わりがあることだとは実感できなかっただろう。

自分が20歳の自分に知っておいて欲しいことはなんだろう。それは、きっと今でも心に刻むべきことだと思う。だから何歳でこの本を読んで大丈夫。