2011年8月21日日曜日

桐生旅行記

埼玉にある実家に帰って、K夫妻と飲み明かした翌日、私と妻とK夫妻で群馬県桐生へ向かうこととなった。もともと桐生の友人を訪ねる予定であったので、テントなどのキャンプ道具は準備してあった。K夫妻の参加は急に決まったが、キャンプは人数が多い方が楽しい。K夫妻が着替えなどの準備をする間に、ガソリンを入れ慌ただしい出発となった。


急ぐ旅でもないので、下道で行くこととし、川越、熊谷、太田と過ぎ、大きな渋滞にも巻き込まれなかった。254号と407号の街道沿いには、大型店舗が続き、何度も見かけるトイザらスへ入りたい気持ちが募った。しかし、トイザらスに行っても何も買う物がないという自覚はあったので、トイザらスには入らず、「ビックカメラとトイザらスの中間の店が欲しい」などと話しながら車を走らせた。

キャンプ場は、山間にあるので桐生市内で食材を買っておかなければいけない。大きめのヤオコーに入って、夕飯の食材に肉を1kgほどと、野菜、ビールを購入した。朝食にはカップメンを各自一つずつ購入した。

桐生の友人は、キャンプ場近くの国民宿舎に泊まり込みで仕事をしている。元々、住んでいた家は桐生市内にあるが、通勤が億劫なため泊まらせてもらっているらしい。車で30分ほどだと思うので家に帰った方が楽だと思うのだが、夜の山道は危険なのかもしれない。

目的の草木湖へ向かう122号に入った。ダム湖である草木湖には、貯水率の表示があり、60%ほどと電光掲示板が示している。122号に沿うようにわたらせ渓谷線が走っていて、山道を登っているのに駅の標識がある。ダム湖の隣に国民宿舎もあり、鉄道まであると観光地として盛り上げたいというのが伺える。122号に入り、セブンイレブンのある福岡大橋を過ぎると景色がぐっと山らしくなった。122号沿いにある道の駅くろほね・やまびこへ寄る。黒保根村、横溝正史の小説の舞台になりそうな名前だが、現在は桐生市に合併され桐生市黒保根町になっている。肉が焼けるまでにつまむのにちょうど良さそうだったので、安く売っていたトマトを買った。

友人の仕事が終わる15時に近くなり、国民宿舎へ向かう。前日にどこで会うか電話で話したはずなのだが、酔っ払っていたため覚えていなかった。草木湖を渡る赤い草木橋を対岸へ渡る。草木橋は車両がすれちがえる程度の幅で、欄干が低いうえに、湖面までの高さがあるため、落ちてしまいそうな不安な気持ちになる。夜には出来れば通りたくない道だ。橋を渡り切ると道は一車線になり、曲がりくねった先に国民宿舎の看板が出てくる。ここの国民宿舎は携帯電話の電波が入らなかったので、受付の女性に友人のことを聞くと、すでに仕事を上がってしまったと教えてくれた。友人にはキャンプ場のことは前日に伝えておいたので、キャンプ場に行き、テントなどの設営をしながら連絡を待とうということになった。

キャンプ場は思っていたより盛況で、15時を過ぎてチェックインする私たちが最後のようだった。周りの他のテントからはすでに肉を焼く匂いがただよってくる。テントとタープを設営して、炭を起こそうとしていたところに友人がやってきた。風呂に入ってからきたということを聞いて、風呂に入りたくなった。キャンプ場で、国民宿舎の露天風呂の割引券を貰っていた。今来たばかりの友人に、ビールを渡して炭お越しをお願いすると、私たち四人は風呂に入るため国民宿舎に戻った。風呂代は300円と安かったが、風呂は露天風呂でひぐらしの鳴き声が気持よかった。友人は「赤城山を買ってきて」と、私にお願いをしたので、日本酒の赤城山を購入し国民宿舎をでた。


あまり期待していなかったが、友人は炭を起こして、野菜も切っていてくれた。明るいうちにある程度食べておかないと大変なので、準備をしながらの乾杯となった。K夫妻の実家で採れた茄子や、桐生産のオクラなどを食べながら、友人が桐生に来て気になる女の子の話などをしていると、日はすぐに暮れた。今、気になっている女の子はサーカスをやっているという。キャンプ用の折り畳みイスが人数分なかったため、友人は車から布を持ってきて、それを地面に敷いて座った。ついでに持ってきたギターを弾きながら、吉田拓郎を歌う姿がキャンプらしさを盛り上げた。

各自それぞれ眠り初め、私と友人の二人が最後に残った。友人はサーカスの宿舎を見に散歩にでも行こうと誘った。時間は0時を回っていた。ランタンを片手に122号に出たが車は1台も走っていなかった。道路を山奥へと進んで行くと古い校舎が見え、そこをサーカスが使っているとのことだった。校舎の窓にはサーカスの文字が大きく張り出されていた。私は友人に電話でもしてみたらと言ったが、電話番号を知らないという。仕方がないので校舎の周りをブラブラして帰った。

朝は私が一番に起きてしまった。やることもないので、そのままとなっていた空き缶などの片付けをする。ビールと発泡酒合わせて12本、ワイン2本、日本酒4号はすべて飲み干され、骨付き肉の骨には蟻が群がっていた。そうこうするうちに皆起きて来たので、順番にお湯を沸かしてカップメンを食べた。

テントとタープを解体して、乾かした。地面からの水分がテントの下を濡らしていた。乾かす間、キャンプ場の中を見回る。小さな小川が整備され、魚の放流などやっているようだ。小川からは、眼下を流れる渡良瀬川が見える。

観光らしいこともしたいので、近くの滝を見に行くことになった。私たちは友人の車の後を付いていった。車は誕生日に錦鯉センターのご主人にプレゼントとしていただいたそうで、ナンバーは友人の誕生日になっている。友人の車の後についていくと、運転が気になりだす。センターラインをまったく意識していないような走り方で、センターラインを超えたり、端によったりと安定していない。こっちの車での運転下手での盛り上がりは向こうには伝わらないだろう。122号を小中駅から脇道へ入る。道はすぐ細くなり、崖沿いに山を登っていく。道も悪く驚くほど落石が路上に落ちている。これが最近の地震によるものなのかわからないが、道の悪さと恐怖で秘境に来た感覚になる。しかし、滝の入り口に着くと車が何台かあり、家族連れが木陰でシートを引いて川遊びをしているたりする。少し秘境感が減りがっかりもするが、人がいるという安心もある。橋を渡り、山を登って小さなトンネルをくぐると「けさかけ橋」に出る。最大で傾斜が44%もある吊り橋で、赤い手すりが綺麗だ。吊り橋でありながら、傾斜がある橋というのは珍しいなと思う。吊り橋というだけでスリルがあるが、傾斜があることでさらにスリルが出る。けさかけ橋からは目的の小中大滝が見える。こなかおおたき、だ。


小中大滝から山を下り、桐生市街へ出た。友人の進めで、カレーうどんが旨いという「まるたや」を訪れるが定休日で入れず。ひもかわうどんで有名な「藤屋」」でひもかわうどんとソースカツ丼のセットをいただく。ひもかわうどんは名前の通り、うどんが細く切られてなく、紐状というか帯状になっている。クレジットカードなどの幅くらいだろうか。つゆとの絡みが少し物足りないが、見た目のキワモノ感よりは意外といける。驚いたのはソースカツ丼で、ソースがだし汁で割られていてくどくなく、とても旨い。ソースカツ丼を見直した。食事を終えて、帰途についた。