2009年11月7日土曜日

ゼロ年代の想像力

 宇野常寛著。

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 感想のようなメモ。

 東浩紀をはじめとした批評家の読解は「古い想像力」に留まり、「ゼロ年代の想像力」をとらえられていないのでは、という点から始まる。ここで「古い想像力」とは、社会的自己実現の信頼低下を背景とした想像力となる。「ゼロ年代の想像力」は、社会的な背景が一歩進み、すでに社会的な自己実現の信頼性の低下を前提とした上での想像力となる。
 両者で何が違うかと言えば、前者は信頼性が低下したから何もせずに「引きこもる」という碇シンジ型と、後者は信頼性がないのは当たり前だから自分で「決断する」という夜神月型の違いとなって現れる。

 「決断主義」の問題点は、無根拠を承知で中心的な価値を信じてしまうこと。それにともなって、他の価値観を持つ決断主義者と相容れにくいこと。このような決断主義を越える方法が必要だということで、いくつかの想像力が提案される。が、あまりピンとこない。

 碇シンジの延長にセカイ系を見出したり、仮面ライダー電王の変身にコミュニケーションを見出したりと、現在の想像力を捉えるという面ではとても良い本。平成仮面ライダーシリーズを観なければと思った。
 


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